虫歯とは、口の中の細菌がグルコース(ブドウ糖)を分解した時に出る酸により、歯が溶かされる事を言います。ここで言うグルコース(ブドウ糖)は、決して甘いものだけではなく、我々の主食である炭水化物も含まれます。炭水化物は、唾液に含まれる酵素(アミラーゼ)により、分解されれば最終的にはブトウ糖に変化するからです。グルコースが分解され、口の中が酸性に傾くと、歯の表面が溶け出します(脱灰)。時間が経てば、唾液により酸は中和され、口腔内は中性に傾いてきます。この時に溶け出した部分に唾液中のカルシウムが取り込まれれば、また歯は固くなり、修復がなされます(再石灰化)。その為、おやつを食べ続けたり、次の食事までの間隔が短いと、歯の修復が間に合わず、徐々に穴が大きくなる事になります。
その為、食後の歯磨きやうがいが必要で、食後の酸性に傾いている口の中を中性近くに戻す事が大切になります。食後すぐに歯磨きができない場合でも、水を飲むなど、少しでも口の中の酸を洗い流す事を習慣づける事が、虫歯予防につながります。
虫歯はその進行の程度により以下のように分類されます。
Co → C1 →C2 → C3→ C4
*CはCaries(虫歯)のCです。
-
Co
虫歯になりかかっている状態で経過観察(Observation)の状態。
虫歯はいきなり穴ができるわけではなく、歯の表面が白く濁る事から始まります。
健康な歯がカチカチに硬いとすると、Coの状態は軽石のようにスカスカになっているイメージです。
でも形はあるので気づきにくいのです。この状態は削る必要はなく、フッ素を塗布し口の中の状態を改善すれば、またカチカチの歯に戻ります。(再石灰化)
-
C1
本格的に穴があく状態ですが、歯の表層のエナメル層までの虫歯を言います。ほとんど痛みはなく、穴も小さい為気づきにくいです。
-
C2
虫歯がエナメル質を突破し、象牙質まで到達した状態です。ここまでくると歯の神経が通っているので、冷たいものがしみたりと温度刺激に反応する事が多いです。穴に食べ物が挟まる事があります。
-
C3
虫歯が神経まで到達した状態。ここまでくると、歯の神経を除去する事になります。(根管治療)虫歯により神経に細菌感染が起こり、激痛が出るのもこの段階です。
-
-
C4
穴がぼっこり空いて、歯冠が崩壊してしまった状態。中の神経は腐り、歯の根の先に膿が溜まる事があります。根管治療で歯自体を残せればいいのですが、虫歯除去後、歯の残っている部分が少ない、歯に亀裂が入っている、などの場合は抜歯の可能性も出てきます。
根管治療とは
C3より進行した虫歯や外傷、歯の亀裂に対して行う治療で、俗に「根の治療」と言われる治療法です。歯の根の中の神経や血管などを合わせて歯髄と言います。虫歯によりこの歯髄に感染が起こると、歯髄に沿って感染が広がり、いずれ根の先から外へと広がっていきます。根の先に膿が溜まったというのは、この状態です。
ここからの治療法を「根管治療」と言い、細い針金の様な器具で歯の内部の感染した歯髄やその周りのこびり付いた汚れをきれいにする治療法です。
根の内部の感染した神経や虫歯を完全に取り除き、消毒、殺菌の為のお薬を入れ、1週間ほどおいておきます。
内部の治り具合により週1回のお薬交換を何回か繰り返す事になるので、治りが遅い場合5-6回、もしくは7-8回以上かかる事があり、「歯医者に何度も通っているけれど全然よくならない」と言われてしまう治療の多くはこれだと思います。歯医者が嫌われてしまう治療の一つですが、僕の経験上ほとんどの方は快方へ向かいます。根の内部が完全にきれいになり状態が良くなれば、根の内部に薬剤を充填し、再び銀歯などにより修復する事が可能です。